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2020.01.22

福島県産の夢の香は日本酒の質を格上げしてくれる優れものだった

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はじめに

日本酒の原材料がお米であることを一般常識として知っている方は多いですが、それでは普通に食卓に並ぶお米と日本酒用のお米とでは品質がかなり違ってくることはご存知でしょうか。日本酒に使われるお米のことを「酒米」と呼びますが、この酒米として有名な福島県産の酒米が「夢の香(かおり)」という品種です。

この記事では日本酒に使われる酒米の特徴や、夢の香とはどういった酒米であるのかなどについて解説します。日本酒好きな方にとっては格好の豆知識なので、日本酒を飲みながら語れる豆知識としてぜひこの機会に覚えておいて損はありません。

酒米と普通のお米との違いとは

冒頭では日本酒作りに適したお米のことを酒米と呼ぶことを伝えましたが、この酒米は普段私たちが口にする普通のお米と比較するとずいぶんとその特徴が違っています。この章ではまず酒米と普通のお米の違いについて比較しながら紹介していきます。

外観的な大きさの違い

日本酒のラベルを見たことのある方で、「精米歩合〇〇%」という表記を見たことがある方もいるかと思います。日本酒を作る際には米の表面を削り白くする「精米」という工程があり、精米歩合が高ければ高いほどお米の表面をより多く削っていることを意味しています。

つまり酒米の場合では小粒すぎるとその精米途中に米粒が砕けてしまう恐れもあるため、基本的には酒米の米粒は普通のお米よりも大粒になっています。

心白(しんぱく)の含有量の違い

生の米粒を見てみると、白色でかつ不透明な部分がお米の中心あたりにあるのが分かります。この白色不透明な部分のことを「心白」と呼ぶのですが、この部分はタンパク質の含有量が少ない上に精米しても砕けないほどの粘性があるのに、醪(もろみ)にはよく溶けるという性質があります。

そのため酒米では普通のお米に比べて、この心白部分が大きい傾向にあります。

醸造適性の違い

日本酒を作るための酒米については、蒸米吸水率や麹の作りやすさなどの観点から、その米に醸造適性があるかどうかを事前に判断することになります。日本酒作りに適さないお米を使ったところで美味しい日本酒は作れないため、当然酒米として使うお米についても選別しておかなければなりません。

つまり醸造適性があると判断されなければ、日本酒作りに使用されることは決してないということです。

普通のお米と酒米とでは上記のような明確な違いがあり、普通のお米では食用が最適であるように、仮に酒米を普通のお米のように食べようとしても恐らく多くの方が美味しいと感じることはないでしょう。それだけ普通のお米と酒米とでは品質が違っているということです。

夢の香の特徴とは

酒米の一つとして日本屈指の米どころ新潟県で作られている「五百万石」があります。福島県ではこの五百万石より優れた品種を開発することを目標にして、結果的に「夢の香」という酒米を完成させるに至りました。そんな福島県オリジナルの酒米である夢の香はどのような特徴を持つ酒米なのでしょうか。

この章では夢の香の特徴について以下で簡単に触れておきます。

2000年に福島農業試験場で、八反錦1号と出羽燦々を掛け合わせて育成されたのが始まりです。新潟県の五百万石よりも優れた酒米を作ることを目指し、その末に完成したのが夢の香です。

五百万石よりも心白の発生率が高く、また心白自体も大きいのがまず特徴的です。また稲自体も寒さや強風に強く、生育しやすいように改良されています。そして米粒は割れにくいのに吸水性に優れており、醪(もろみ)に溶けやすく柔らかいというのが最大の特徴と言われています。

夢の香を酒米として使用した日本酒は五百万石で作ったものよりも香りが高く、五百万石よりも優れた特徴を持つ酒米であるという評価もされています。

福島県オリジナルの酒米として作られた夢の香を使った日本酒については後ほど紹介しますが、福島県では夢の香の他にも県オリジナルの酵母を完成させています。膨大な時間と費用を費やして完成させたのが、次章で紹介する「うつくしま夢酵母」です。

福島県オリジナルの酵母「うつくしま煌酵母」とは

酒作りには酒米とともに欠かせない原料として、酵母の存在があります。ただし酵母の開発には長い年月と莫大な費用がかかるため、福島県内でも実際に酵母開発が行われることはそれまでありませんでした。

しかし昭和63年から4年間かけて行われた「地域システム技術開発事業」では、その研究テーマの一つとして福島県初となるオリジナルの酵母開発が含まれていました。そして最新鋭のバイオテクノロジーを駆使して平成3年に完成されたのが、「F7-01酵母」です。酵母作りでは最初に10日間かけて液体培養をし、麹を入れて培養してからさらに1ヶ月、培養した酵母を使用して日本酒を作るのにはそれからさらに数ヶ月かけなければなりません。

これは日本酒を実際に作ってみないことには、その酵母が日本酒作りに向いているかどうかが分からないためです。

県内初の酵母開発では最初は約1,000種の酵母がありましたが、日本酒の醸造までにこぎ着けたのは約10種類程度だったそうです。その中から1種類だけ残ったのが、F7-01酵母でした。

その酵母を使って作られた日本酒は他のものよりも酸味が少なく、非常に良い香りがしたそうです。この開発事業で最後の一種類として残された酵母は、その後福島県知事により新たな名前が付けられます。それが県内初のオリジナル酵母の第一弾である「うつくしま夢酵母」でした。

うつくしま夢酵母を使うと日本酒特有のフルーティな香りがあるだけでなく、酸味の少ない柔らかな味わいの日本酒を作ることができました。ただしここでは概要としてうつくしま夢酵母ができた経緯に触れましたが、平成3年にオリジナル第一弾が完成してから現在のうつくしま煌酵母が出来るまでには、およそ18年もの歳月がかかっています。

以下でその過程についても簡単に確認しておきましょう。

①オリジナル第一弾(うつくしま夢酵母)の完成

平成3年になると酸性は低く、発酵力が強めの酵母が完成する。香りはバナナ・メロン系であり、現在も純米酒として広く使われている。

②新酵母の開発に着手

香りの高さ、アルコール試験などで選抜して煌酵母が開発されていく。平成15年から研究が始まる。

③新酵母が市場に流通する

平成20年になると、3種の酵母開発に成功する。その頃になると、新酵母で作った清酒が国内に流通し始める。④県知事により命名される平成21年になると、完成した新酵母に新たに「うつくしま煌酵母」という名前が付けられる。

ちなみに③で開発に成功した3種の酵母については、以下のようになっています。

・C10:イチゴ・リンゴ系の香りがとても強く、華やか。日本酒を初めて飲む方にも飲みやすい。

・R50:発酵力が強いため、辛口の日本酒に最適。バナナ・メロン系とイチゴ・リンゴ系の香りの中間であり、日本酒を飲み慣れた方向け。

・G30:香りのバランスが良く高級酒の製造向けで、上品な清酒が好みの方に向いている。

夢の香が使われた日本酒一覧

この章では最後に、夢の香が使われた日本酒についていくつか順に紹介していきます。

穏(おだやか) 有機米

スパークリング最近では「澪」のようにスパークリングの日本酒もよく見かけるようになりましたが、夢の香を使った日本酒スパークリングとして「穏 有機米 スパークリング」があります。すっきりとしたスパークリングらしい飲み口ながらも日本酒特有の香りが楽しめ、さわやかな甘みが美味しい和風スパークリングです。

親父の小言

夢の香を100%使用しているのが、純米吟醸酒である「親父の小言」です。繊細な味わいの中にもお米本来の美味しさをしっかりと感じられ、飽きずに飲み続けられる軽快さがあります。日本酒としての辛みもそれほど強くないため、辛口の日本酒が苦手という方にも飲みやすくなっています。

國権(こっけん) 特別純米酒

福島県産の酒米である夢の香を100%使用した特別純米酒が、この國権です。一口飲めば柔らかに広がるマイルドな旨みが楽しめる日本酒です。冷やで飲んでも燗で飲んでも日本酒らしい辛みと苦みが味わえます。

会津中将 純米吟醸 夢の香

福島県ブランドにこだわって作られた日本酒として、「会津中将 純米吟醸 夢の香」があります。酒米として夢の香、酵母としてうつくしま夢酵母を使っています。すっきりとした香りと、キレがありながらもさらりとした味わいが特徴的です。

夢心純米酒 夢の香

夢の香を使って作られた日本酒として最後に紹介するのが、「夢心純米酒 夢の香」です。この日本酒もまた日本酒らしく酸味があるのですが、その酸味が柑橘系のように爽やかなのが非常に特徴的です。もちろん日本酒としての香りや味わいが損なわれるほどきつくはなく、柑橘系の酸味と上手く調和しているため非常に上品な飲み口になっています。

今回は夢の香を使った日本酒としてその一部を紹介しましたが、これ以外にも夢の香を使用した日本酒はいくつかあります。使う酒米によっても日本酒の味わいや香りは全く異なってくるため、一度も夢の香を使用した日本酒を飲んだことのない方にはおすすめのものばかりです。

まとめ

今回は夢の香だけに絞って酒米を紹介しましたが、福島県内にも実はオリジナルブランドの酒米や酵母があります。日本酒が好きな方であれば酒米や製造方法、さらには酵母などの部分を確認して日本酒選びをしてみると、日本酒の奥深さがより実感できるはずです。

また同じ日本酒でも温度を変えて飲むことで、その味わいや香りを変化させることも可能です。日本酒の新たな魅力を知るためにも、この機会に夢の香を使った日本酒も新たに試してみてはいかがでしょうか。

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