福島で生産量の多い野菜つるむらさきって?美味しいレシピも紹介!
目次
はじめに
皆さんは「つるむらさき」という野菜の名前を聞いたことがあるでしょうか。つるむらさきはほうれん草によく似た見た目の野菜なのですが、食べてみるとモロヘイヤのような独特の粘り気が感じられます。日本では主に沖縄でよく食べられ、「じゅびん」という呼び名で親しまれています。一般的なスーパーやデパートであまり見かけないつるむらさきですが、実は栄養価が高く健康や美容に良い野菜でもあります。
この記事ではそんなつるむらさきのあまり知られていない知識について解説するとともに、つるむらさきを美味しく食べるためのレシピも併せて紹介します。
つるむらさきの基礎知識
つるむらさきを使ったレシピについて紹介する前に、この章でまずはつるむらさきの基礎知識について解説しておきます。
つるむらさきはどんな植物?
つるむらさきという野菜は、そもそも東南アジアや中国東部などで広く栽培されています。つるむらさきが食用として食べられ始めたのは今からおよそ2,000年前のこととされ、原種はツルの部分が紫色だったためこの名前が名づけられました。
現在ではツルが紫色のものではなく、緑色のものが市場に出回ることが多いです。日本国内では主に福島や宮城、山形などで栽培されており、この東北3県だけで全国に出回っているつるむらさきのおよそ6割を占めているのだから驚きです。
最近では多くの野菜がハウス栽培されているように、つるむらさきも1年を通して栽培され1年中市場に出回ってはいます。ただ本来の収穫時期は6月から8月の間であることから、つるむらさきは夏野菜であるという認識が正しいと言えます。
つるむらさきの味は?
つるむらさきの食用にされる部分は茎と葉の部分であり、葉の部分はやや厚みがあり柔らかいです。葉の部分については粘り気が特にありません。
それに対して茎の部分は独特の粘り気と香りがあり、人によっては癖がある味わいだと感じるようです。
つるむらさきの調理方法は?
前述したようにつるむらさきは東南アジアや中国東部などで広く栽培されており、そうした地域でも食用として利用されています。上記の地域ではどのように調理されて食べられているのでしょうか。
中国では「木耳菜(ムーアルツァイ)」と呼ばれており、主に炒め物として食べられることが多いです。ツルの部分が紫色のものの場合では炒め物にすると汁が赤く染まるため、中国語で「臙脂菜(イエンジーツァイ)」と呼ばれることもあります。
またベトナムでは「モントイ」と呼ばれ、主にスープの具材として利用されることが多くなります。
日本国内では主に沖縄で食べられることが多く、主にお浸しや味噌汁の具材、雑炊の薬味として利用されています。
つるむらさきの栄養価は?
緑黄色野菜の一種でもあるつるむらさきは、特にカロテンの含有量が豊富です。カロテンと言えば体内でビタミンAに変換される栄養素として知られており、肺や喉といった呼吸器系器官の保護や、視力や髪の毛の維持にも役立っています。
またつるむらさきはカルシウムやマグネシウムの含有量も多く、骨の形成にも良い影響をもたらしてくれます。マグネシウムについては骨の形成に役立つ他、血圧を下げる効果があるともされています。カルシウムはほうれん草よりもおよそ4倍多く含まれています。
βカロテンについてはほうれん草よりも含有量が少ないのに対し、ビタミンCはほうれん草のおよそ3倍多く含まれています。
そしてつるむらさきはビタミンKの含有量が野菜の中でもトップクラスの多さで、ビタミンKには骨にカルシウムを定着させる効果があると言われています。不溶性食物繊維は水溶性食物繊維よりもおよそ3倍多く含んでおり、便秘にも効果的です。
つるむらさきのカロリーについても100グラムあたり13Kcalと低カロリーなので、栄養価が高いことも考慮すればダイエットに適した野菜であると言えそうです。
つるむらさきの粘り気も実は栄養素?
前述したようにつるむらさきの茎部分には粘り気がある訳ですが、その粘り気も栄養素であることをご存知でしょうか。つるむらさきの粘り気の成分であるムチンは、疲労回復作用と整腸作用があると分かっています。つるむらさきは夏野菜なので、ちょうど夏バテする時期にもってこいの野菜と言えます。
ここまでの内容でも、つるむらさきは栄養価が高いヘルシーな緑黄色野菜であることが分かります。つるむらさきの美味しいものかどうかの見分け方としては、葉の部分が肉厚なものであるか、全体的にツヤ感があるかを見ることで美味しいものを選びやすくなります。
つるむらさきの基礎知識についてある程度おさらいしたところで、次章ではつるむらさきを使った美味しいレシピについて紹介していきます。
つるむらさきの美味しいレシピ
つるむらさきの調理方法については基本的にほうれん草と同じと考えていいので、幅広い調理方法が考えられます。その点を考慮しながらこの章では、つるむらさきを使って作れる美味しいレシピについて順に紹介していきましょう。
つるむらさきのお浸し
つるむらさきの茎の部分に独特の粘り気があることを前述しましたが、その粘り気と香りを手軽に楽しめるのがつるむらさきのお浸しです。
①つるむらさきを水洗いして、茎と葉の部分で切り分ける
②沸騰したお湯に塩とつるむらさきの茎を入れ、1〜2分茹でる
③葉の部分を後から入れ、さらに1分茹でる
④ザルに上げて氷水に晒し、水気を絞る
⑤食べやすい大きさにカットして皿に盛り付ける
つるむらさきのお浸しにはお好みでめんつゆや醤油、かつお節などをかけて食べると美味しく召し上がれます。
つるむらさきのナムル
つるむらさき独特の粘り気を楽しめるつるむらさきのナムルは、鶏がらスープを利用して味付けするためとても簡単です。
①つるむらさきを食べやすい大きさにざく切りする
②沸騰したお湯につるむらさきを入れ、1分茹でてからザルに上げる
③氷水に晒し水気を絞ったら、醤油、鶏がらスープ、ごま油を入れて混ぜ合わせる
手間もなく簡単にできるため、もう一品欲しい時にも便利です。
つるむらさきのかきたま汁
つるむらさきを汁物に入れると、その粘り気によって汁物が少しだけトロッとします。温かい汁物につるむらさきを入れて最後に溶き卵を回しかけて仕上げる、つるむらさきのかきたま汁はお腹にもほっこり優しい一品です。
①つるむらさきを細かく刻んでおく
②鍋に出汁を入れて煮立ったら、酒、みりん、塩、薄口醤油で味をつける
③再び出汁が煮立ったらつるむらさきを入れ、しんなりした時点で溶き卵を強火のまま回しかける
④卵が固まりふんわりと仕上がったら、鍋の火を止める
このまま食べても美味しいですが、アクセントを付けたい場合にはごま油やラー油を少しかけるのもおすすめです。
つるむらさきの炒め物
つるむらさきの粘り気が苦手という方は、つるむらさきを炒め物して食べると癖なく食べやすくなります。炒め物に入れる前につるむらさきを軽く茹でておくと、独特の粘り気や香りを幾分和らげることができます。
①つるむらさきは茎の根元から順にさっと茹で、食べやすい大きさに切っておく
②玉ねぎは薄くスライスし、豚バラも一口大に切って塩胡椒で下味をつける
③フライパンにみじん切りにしたニンニクとごま油を加え火にかけたら、豚バラを先に炒める
④豚バラに火が通った時点で玉ねぎ、つるむらさきの順に入れ、最後にオイスターソースで味つけする
つるむらさきの癖が苦手という方は濃いめの味つけをすることで、つるむらさき特有の泥臭さを和らげることができます。お浸しや汁物にして失敗したと感じた場合には、一度でいいので濃い味つけの炒め物に挑戦してみてください。
つるむらさきのベーコン巻き揚げ
つるむらさきにベーコンを巻きつけて揚げることで、ビタミン類とタンパク質を一緒に摂れる一品に仕上がります。
①つるむらさきを茎の根元から順にさっと茹でる
②ザルに上げて氷水に晒し、水気を絞る
③茹でたつるむらさきを食べやすい大きさに切り、ベーコンを一枚ずつ巻きつける
④水で溶いた天ぷら粉を衣にして、フライパンに少量の油を敷き揚げ焼きにする
ベーコン本来の塩気があるのでそのままでも食べられますが、味が物足りないと思う方はお好みでポン酢やソースをつけても美味しく召し上がれます。
つるむらさきのトマトパスタ
つるむらさきは濃い味つけをすると癖を感じず食べやすいので、トマト缶を使って味つけするのもおすすめです。
①つるむらさきを茎の根元から順にさっと茹で、氷水に晒す
②水気を絞り食べやすい大きさに切る
③別の鍋でパスタをアルデンテの硬さに茹でておく
④フライパンにオリーブオイルとみじん切りのニンニクを入れ、先につるむらさきを軽く炒める
⑤後からトマト缶とツナを入れて混ぜ合わせたら、オイスターソースと市販の塩ダレを加え味つけをする
オイスターソースと市販の塩ダレを使って味つけをするため、時間のない時でも簡単に作れます。
つるむらさきは茎部分に独特の粘り気と香りがあるため、その癖を好きという方もいれば苦手に思う方もいることは確かです。ただつるむらさきを軽く茹でてから料理に使用すると癖が幾分和らげられますし、濃いめの味つけをするとより食べやすくなるはずです。
つるむらさきの癖が苦手という方でも油で炒めると食べやすくなったという声も実際にあるので、つるむらさきの粘り気や癖が苦手という場合には下茹でしてから濃いめの味つけで炒め物にしてお試しください。
まとめ
緑黄色野菜のつるむらさきは虫や病気にも強いので、家庭菜園でも育てやすいという特徴があります。またつるむらさきのツルが紫色のものについては花が淡紅色で美しいため、観賞用に栽培されることも多くあるそうです。
スーパーやデパートであまり見かけない野菜ではありますが、つるむらさきを見かけた際には一度試してみてはいかがでしょうか。