日本の米どころ福島県のお米のおすすめ銘柄とは
目次
はじめに
自然豊かな福島県は歴史的な観光名所や美味しいグルメはもちろん、日本有数のお米の生産地であることを皆さんはご存知でしょうか。福島県はお米作りに適した条件が揃っており、また地域によって土壌や気候の特徴が異なるため各地域によってもお米の作り方がそれぞれ違います。そんな日本有数の米どころである福島県では美味しいお米の銘柄がいくつもある訳ですが、実は各銘柄でお米の美味しさの理由が違うことはあまり知られていません。
この記事では福島県で作られるお米の銘柄の紹介とともに、お米にまつわる知識を紹介します。これまで特にこだわりなくお米の銘柄を買っていたという方は、この記事を読んでまずは福島県のお米について知識を深めてみてはいかがでしょうか。
お米の歴史
日本人であれば毎日のように食べるお米ですが、そもそもそのお米はどのような歴史を経て食卓の上に並ぶようになったのでしょうか。
お米の栽培が普及するまで
お米の栽培が始まったのは弥生時代あるいは縄文時代のことと言われており、東南アジアから朝鮮半島や台湾を通じて北九州に伝わってきたとされています。こうして国内に異国の文化などが伝来することを正式には「間接渡来説」と言います。
当時は特定の土地に留まり食料を生産する稲作のような文化が普及していなかったため、日本に住んでいた人々は狩りや木の実の採集をしながら土地を渡り歩く暮らしをしていました。そうした暮らしぶりが稲作の伝来から一変し、日本の人々は農耕をして食料を自給する生活へと移行していきます。
ただ当時の人々が現代のように白いお米を食べていたかと言うとそうではなく、昔はもみ殻がついたままのお米をそのまま焼いて食べるのが一般的だったそうです。そこから土器の多様化に伴ってお米を蒸して食べる方法が広まり、お米の精白技術が確立されてからは白いお米でおこわを作れるまでに至ります。
おこわと言うともち米で作るイメージですが、当時の人々はもち米だけでなくうるち米と言われる普通のお米も使っておこわを作っていたとされています。
お米の栽培技術
弥生時代の頃には稲作が定着したと言われていますが、この頃にはすでに鍬(くわ)や鋤(すき)といった農耕器具が存在していました。また天皇の下命によりお米作りのための灌漑(かんがい)用水や堤防が築かれていたとも言われ、弥生時代の時点でお米が日本人にとって重要な食料として認識されていたことがよく分かります。
それから時代が進み鎌倉時代にもなると二毛作(にもうさく)が行われ、一年間のうちに二種類の作物を作る取り組みが始まったと言われています。
江戸時代の頃にはお米が税金の代わりとして重宝されるようになり、大名が武士に給料としてお米を渡すということも実際に多数行われていました。また江戸幕府8代目将軍徳川吉宗の時代には新田開発をしてお米の増産を図りますが、お米の生産量が増えた代わりにお米そのものの価値が下がり、結果的に農民や武士の生活が困窮してしまいます。それが原因で日本の各地で農民一揆が起こった時代もあったほどです。
そんな時代を経て明治時代にまでなると、近代的な農耕技術によりお米の生産量が一気に増えます。もちろんお米も作物なので気候の寒暖差によっては豊作の年もあれば不作となる年もありましたが、去年や一昨年のお米をあらかじめ貯蔵しておくことによりお米の供給量が急激に変動することはなくなりました。
都心部から離れた街にもなると田園風景を見かけることはかなり少ないかもしれませんが、小学校の一部では子供達に日本の稲作や農業をもっと身近に感じてほしいという願いを込めて、バケツで稲を育てる取り組みを行っています。稲の成長を見守り最終的には収穫する際の喜びを実体験として学ばせることが、田んぼと縁遠い現代の子供達だからこそ必要な食育であると言えるのかもしれません。
福島県のお米はなぜ美味しい?
福島県は日本有数の米どころとして知られていますが、福島県で作られるお米はなぜ美味しいかその理由を皆さんはご存知でしょうか。
福島県のお米作りは気候風土によって違う
福島県は県内に越後山脈、奥羽山脈、阿武隈山地といった3つの山脈が走っており、その山脈を挟んで3つの地区に大別することができます。この地区によって以下のような違いが見られます。
・会津地区:盆地特有の寒暖差により、甘みのあるお米が作りやすい
・中通り地区:粘土質の土壌の田んぼが多く、お米作りに適した澄んだ水が豊富
・浜通り地区:年間を通じて気候が安定しており、良質なお米が作りやすい
こうした各地区の特徴を活かす形で各農家がお米作りを行っているため、福島県のお米は生産者の方々のこだわりが光る銘柄が揃っているという訳です。
お米の銘柄にもランクがある
お米作りに携わっている方でもなければあまり知らないことですが、お米の銘柄にも実はランクがあります。ランクと言えば和牛につけられるA5やA4といったものを思い浮かべる方も多いかと思いますが、そうしたランクがお米にもあり、お米の場合では「米の食味ランキング」という形でランク付けがされています。
これは日本穀物検定協会が昭和46年より実施している制度で、 ご飯の外観・香り・味・粘り・硬さを総合評価してランク付けを行っています。上から順に特A、 A、 A’、 B、 B’とランク分けされており、 「特A」はその中でも最上級のランクとして位置付けられています。
平成30年度に行われた食味ランキングでは、福島県の全銘柄のうち4銘柄が「特A」ランクを獲得しました。同じく日本有数の米どころである新潟県や山形県と同数に並び、福島県は二年連続で日本一になりました。その際に選出された銘柄として以下のものがあります。
<特Aランク>
- 会津コシヒカリ
- 浜通りコシヒカリ
- 中通りひとめぼれ
- 会津ひとめぼれ
- 里山のつぶ(参考品種として)
<Aランク>
- 中通りコシヒカリ
- 天のつぶ
米の食味ランキングでは食味評価の専門家がその銘柄の美味しさを総合的に判断するため、同ランキングで高評価を得た銘柄の美味しさは折り紙つきです。福島県のどのお米が美味しいか分からないという方は、食味ランキングの高評価の銘柄からまず試してみるのがおすすめです。
福島県のおすすめ銘柄
前章でも福島県のお米の銘柄がいくつか登場しましたが、実際にどのお米がどういう風に美味しいのか疑問に感じている方も多いかもしれません。この章では福島県で作られた銘柄の中でも、特におすすめの銘柄だけをいくつか挙げて紹介していきます。
コシヒカリ
食味ランキングの特Aランクにもなったコシヒカリは福島県を代表するお米の銘柄と言えます。炊き上がりは瑞々しいツヤがあり、お米の香りや甘み、旨みが強く、食感そのものはもちもちとしています。お米本来の美味しさを味わえる銘柄としておすすめです。
そんなコシヒカリはおにぎりにして食べるとその美味しさがよりはっきりと感じられます。お米の甘みが強く水分量も多いため冷めても美味しく、シンプルな調理方法であるほどお米の香りや甘みをはっきりと味わえます。
ひとめぼれ
味と粘りのバランスが良く優しい食感でかつ柔らかな口当たりが特徴のひとめぼれは、癖のないあっさりとした味わいです。お米そのものに癖がないことでどんな料理にも合わせやすく、特に素材の味を引き立てる調理方法が多い和食との相性が良いです。
そんなひとめぼれは和食の献立に合わせると、控えめな甘みと適度な粘りで後味もあっさりと食べやすいです。また和食以外でもお米の味が主張しすぎるといったことはなく、幅広い料理に適しています。
里山のつぶ
食味ランキングで特Aランクを獲得した里山のつぶは、平成29年度に誕生した福島県オリジナルの銘柄となります。大粒で食べ応えがあり、それでいて適度な粘りと旨みも感じられます。
そんな里山のつぶは米の粒の大きさを活かす意味でも、炒飯やピラフといった炒め物で食べるのがおすすめです。大粒であるため調味料が染み込みやすく、他の食材に負けることのないしっかりとした歯ごたえと適度な粘りが美味しさの秘密です。炒め物以外にもお米そのものに調味する調理方法との相性が抜群です。
天のつぶ
里山のつぶと同じく福島県オリジナルの銘柄でもあるのが、惜しくもAランクを獲得した天のつぶです。お米の粒が大きく食べ応えがあるのは里山のつぶと同様ですが、粘り気はあまりなく炊き上がりはふっくらとしています。
そんな天のつぶはお米の粒が大粒かつ揃っているため、丼ものにして食べるのがおすすめです。もちろん里山のつぶ同様大粒なので、炒め物でも美味しく食べられます。
福島40号
市場に2021年から出回る新銘柄として今年6月に選定されたのが、コシヒカリ系の新潟80号とひとめぼれ系の郡系627を交配して誕生した福島40号です。特徴としては大粒で甘みと香りが強く、それでいて食感は柔らかいとのことです。コシヒカリとひとめぼれのいいとこ取りというイメージです。
銘柄自体の名称は来年3月に発表予定とされ、生産量を限定して福島県のお米のブランドイメージを引き上げる役割が期待されています。
まとめ
新潟県や山形県と並ぶ米どころである福島県で作られるお米は、その銘柄によって味わいや粒の大きさ、食感の全てが違います。普段からお米にこだわって食べていない方でも自分好みのお米の条件というのはあるはずですし、美味しいお米が食卓に並ぶだけでも日々の食事がより価値あるものへと変化することも十分考えられます。
日頃食べる料理のバリエーションに合わせて銘柄を選んでもいいですし、この機会に食べ比べてみればまた新たな発見があるかもしれません。福島県産のお米はJAの公式通販サイトからも購入できるので、その美味しさを記事で読むだけで終わらずぜひご自分の目や舌で体感してみてください。