【福島弁?】よかっぺってなんだ【茨城弁?】
皆さんは、「方言」と聞くと、何を思い浮かべるでしょうか?
有名なところでは、「関西弁」「博多弁」「広島弁」など、日本各地には50以上の方言が存在します。
その中でも、方言は違えどよく似ている方言も存在します。それが、「福島弁」と「茨城弁」です。これらの方言を聞くと、「素朴な感じがする」「いかにも東北らしい」と思われる方も多いのではないでしょうか。また両県は、隣り合っている県でもあるので、似ていると言われたら納得するかもしれません。
ところが、よく調べたり聞いたりすると、発音や語尾が異なることがわかります。
今回は、福島弁と茨城弁の違いや特徴、実例を交えながら紹介していきます。
共通点とそれぞれの特徴
福島弁と茨城弁の共通点を挙げますと、言葉に抑揚がない、いわゆる、「無アクセント」になります。たとえば、「雨」と「飴」(前者は語尾が下がる、後者は語尾が上がる)の発音が同じであることです。なので、他県民が聞くと「??」となることが多々あります(笑)。
また、福島・茨城だけではなく、栃木や宮城と一緒に共通するのが、「ずうずう弁」です。「シ」と発音するところが「ズ」になったり、「ジュウ」を「ズウ」と言ったりと、強めの濁音で話す傾向があります。
今度は、それぞれの特徴ですが、
● 福島弁
①「イ」と「エ」が逆に聞こえる場合がある(イ→エ エ→イ)
② 地域によって言葉が異なる
● 茨城弁
①「イ」と「エ」が混同した発音になる(例:駅は「イキ」と読む)
②「カ行」と「タ行」に濁音がつく(例:してないか→してないが)
それぞれの方言には上記のように、こういった特徴があります。
茨城弁でよく使われるのが、語尾に「っぺ」がつくことです。標準語で「今日はそこに行くか」という言葉を茨城弁にすると、「今日はそこに行くっぺ」となります。千葉の沿岸部(太平洋側)も語尾に「っぺ」がつく傾向があります。
福島弁を細かく見てみると、福島県自体面積が広いため、地域によって浸透していない方言もあります。たとえば、「~くなんしょ」(標準語では、「~してください」)という言葉は、会津地方ではよく耳にします。九州弁でよく耳にする「~だばい」(標準語で「~でしょ」)はおもに、中通り中部(郡山市・田村市)で使われる傾向があります。おもに茨城弁で使われる「~だっぺ」は、浜通り南部(いわき市)でよく使われます。 このように福島弁と茨城弁では、似ているようで異なる部分も多いことがお分かりかと思います。また福島弁に関しては、地域によってさらに細分化されるといった面白い側面もあります。
「っペ」はどっちの方言?
肝心なテーマである、「よかっぺ」(標準語で「いいことだ」)はどっちの方言かについてですが。前述したととおり、茨城でよく使われる方言であることは確かです。
実際に、茨城県の日立市には「よかっぺ祭り」と題した音楽祭が開かれています。ほかには、大洗町のPR動画のタイトルが「~しらせっぺ!大洗の魅力~」だったりと、っぺを前面に押し出しています。
しかし、よかっぺは茨城だけに浸透しているわけではありません!
福島県でもよかっぺを祭っています。
福島県いわき市四倉地区では毎年4月に行われる「よかっぺ感謝祭」という祭りがおこなわれています。 よかっぺという言葉は、福島県の浜通り南部でも浸透していて、地元の方も語尾に「っぺ」がつく傾向があります。要するに、茨城・福島両県で浸透している言葉であることが分かりますね。
他地域で使われることも!?
ところが、さらに深堀りしていくと、福島・茨城だけの言葉ではないことも判明しました。
実は千葉県でも、祭りの名前で使われている場面があります。千葉県の東部に位置する匝瑳(そうさ)市でも茨城県同様、「よかっぺ祭り」が毎年10月に開催されています。また、千葉県地元のテレビ・ラジオでは、やたら「っぺ」を多用するCMも多く起用されています。
そう見ていくと、広範囲で使われている事実が分かってきます。「っぺ」は必ずしも、茨城・福島しか使われない言葉とは限らないのです。
福島から茨城、千葉にかけて広く知られている言葉とも言えます。
さらに共通点があり、この3県の沿岸部に集中している点です。福島から千葉にかけての沿岸部は、漁業が盛んな街が点在する関係で、漁師さんたちが話す印象が強いのかもしれません。
そう考えてみると、「っぺ」という方言は、茨城弁=「っぺ」と言い切れないのかもしれません。福島県にも浸透している言葉でもあり、千葉県でも浸透しているという見方もできます。一部では、「っぺ」は茨城の言葉だ!とお思いになられている方もいるかもしれません。むしろ、福島弁の一部として捉えても全然問題ないのが普通かと感じました。 方言はよく、都道府県ごとに異なるという意見も聞こえますが、必ずしもその形式に当てはまらないこともあることが言えます。どこか共通点がある県同士(隣り合っている、漁業やその他産業で強いつながりある)だと、方言も県を超えて広まっていることが言えるのではないでしょうか。
番外編① よく使われる福島の方言
ここからは、福島弁でよく使われる言葉をいくつかご紹介していきます。素朴で飾らない雰囲気の福島弁を知ると面白いかもしれませんよ。
- 「~だべした」
福島弁の定番といってもいいかもしれません。意味は「~したじゃないか」となり、何か言い切る時に使われることが多いです。おもに中通り北部(福島市・伊達市)を中心に広まっています。
- 「投げる」
これもよく使われます。ボールを投げるという意味ではありません「捨てる」という意味なのです。
たとえば、「これ、ゴミ箱に投げといて」と聞こえたらそれは、「これ、ゴミ箱に捨てておいて」という意味になります。なので、福島になじみのない方が職場などでいきなり、「これ、投げといで」と言われたら、ポカーンとするかもしれません(笑)。
- 「んだ」
語尾につくことが多いです。「そうだ・そうですね」のことを指します。なので、福島県民同士が会話したとき、相手の意見に同意するときは、「んだんだ!」と言うことが多いです。
- 「おら」
よく聞くと、男性が使うイメージがあるかもしれませんが、女性が自分のことを指すときにも使われます。ご年配の女性の方々は、自分を指すとき「おらは」という人がほとんどです。 若い女性でも使う方はいます。なので福島県の女性が県外の男性に告白をするとき、「おら、あなたのことが好きなんだ」と言われたら、男性によってはドキッとしたり、驚いたりといろいろなリアクションをするかもしれませんね(笑)。
番外編② 特徴のある福島弁
いままでは福島弁の基礎編でしたが、特にクセのある方言をいくつかご紹介していきます。馴染みのない方が聞いたら、理解するのに時間かかるかもしれませんが、知るとけっこう面白いのが多いですよ。
- 「うっちゃしい」
「うるさい・うっとうしい・目ざわり」という意味です。誰かに怒ったり怒られたりしたときに多く使われます。 「あいつ、まじでうっちゃしくてムカつくんだけど!」だったら、「あいつ、まじでうるさくてムカつくんだけど!」という意味になります。 ほかにも、「ハエがうっちゃくしくて食事できない」だと、「ハエがうっとうしくて食事できない」になります。
- 「いじくりこんにゃく」
初めて聞くと、食べ物のこんにゃくを想像するかもしれません。しかし、意味はまったく異なり、「可愛いものを触りまくる」や「もみくちゃに触りまくる」となります。
小さい子どもさんなどに向けて使われることが多いです。「あんたの赤ちゃん可愛すぎて、いじくりこんにゃくだよ」というのは、「あんたの赤ちゃん可愛すぎて触りまくったよ」ということになります。おもに浜通りでよく使われます。
- 「しゃあんめ」
「仕方ない」「しょうがない」といった、なにか諦めるときによく使われる方言です。
「しゃあんめから遊園地に連れてってあげるよ」だと、「仕方ないから遊園地に連れてってあげるよ」となります。ネガティブな場面で使われることがほとんどなので、あんまり聞きたくない言葉かもしれませんね。
- 「あっぱとっぱ」
どうしても、とっぱの部分を聞くと、何かを突破すると勘違いしてしまうかもしれません。「あたふたしている様子」「慌てる様子」を意味します。 「バスがあと2分で来るから、あっぱとっぱしちゃっている」と言われたら、「バスがあと2分で来るから、慌てちゃっている」となります。決して何かを突破するということではありませんので、県外の方は理解するのに時間がかかるかもしれませんね(笑)
「よかっぺ」は誰でも使ってよかっぺ
いかがでしたでしょうか。福島弁と茨城弁は、大変似ている部分が多いことがお分かりになったかと思います。
同時に、発音や語尾にちょっとした違いがあることにも気づいたのではないでしょうか。
今回の表題にありました、「っぺ」は福島弁なのか茨城弁なのかについてですが。福島県内でも使われている点から見ると、福島弁の一部と思って問題なさそうです。
福島の郷土愛が強く、茨城の言葉に抵抗があるという方がもしいらっしゃいましたら、日常生活でどんどん使っていきましょう。そうすれば、福島弁の中に「っぺ」「よかっぺ」が浸透していき、それがやがて、福島弁として県外の方々にも普及していくだろうと感じます。
よかっぺを愛すいち福島ラバーとしてむしろ福島弁は、「ぱぴぷぺぽ」がよく使われるので、恥ずかしがらずにどんどん使った方が・・・よかっぺ!と思います(笑) 最後までありがとうございました。