福島がもっと発展するために。
地元の を応援するメディア。

2020.01.06

サッカーで復興応援! 福島のサッカーの現在アラカルト

よかっぺボタンを押して
このチャレンジを応援!

0よかっぺ


Jヴィレッジ完全再開! JFAアカデミー福島の活動再開は?

あるアンケートによると、福島県民が好きなスポーツを調査したところ1位はサッカーだったという結果が出ています。福島はプロサッカーチームである福島ユナイテッドを筆頭に多くのアマチュアサッカーチームが県内に存在します。前回高校サッカー選手権では福島県代表がベスト4進出を果たしています。そして何より、浜通りにあるJヴィレッジは2019年に完全再開を果たしました。さまざまな面から福島が大きく傷つけられた東日本大震災から10年弱。いずれのサッカーチームも、福島をサッカーで震災以前以上に元気にしたいという想いを抱えています。この記事では2019年の福島サッカーの“いま”をダイジェストでご紹介します。


Jヴィレッジ創設と東日本大震災

1997年に日本初のナショナルトレーニングセンターとして開設されたJヴィレッジ。Jリーグが発足したり、いわゆるドーハの悲劇に見舞われたりしたことなどから日本のサッカー界をけん引する存在を育成する拠点となる施設をという願いで作られた場所です。天然芝が敷かれた11面ものピッチとプロの試合が可能な仕様のスタジアムを目玉に、サッカー日本代表選手団に随行したシェフが腕を振るうレストランや家族旅行から団体合宿まで対応できる宿泊施設、大人数の会議が可能な研修室、全天候型の室内温水プールが併設されたフィットネスエリアなどが収容されていました。1か所でトレーニングやキャンプ、合宿が完結できる施設は国内に例を見ません。2002年FIFA日韓ワールドカップの際には強豪国アルゼンチン代表の合宿地に選ばれています。もちろん日本代表の選手たちも幾度となくJヴィレッジで合宿を行っています。

そんなサッカーの聖地を悲劇が襲います。東日本大震災で被災後、福島第一原発にほど近かったJヴィレッジは原発対応の前線基地となってしまったのです。スタッフが丹精込めて整備していた自慢のピッチには砂利やアスファルトが敷かれ臨時駐車場や資材置き場にされてしまいました。幸か不幸か、充実した設備があったために一時は1000人を超える除染作業員の生活拠点にも用いられています。さらに2013年には東北電力がJヴィレッジに福島復興本社を設立。原発事故の対応前線としての役目が一層強くなりました。

サッカーの、スポーツの一大拠点だった在りし日の姿とはかけ離れた様子にJヴィレッジがトレーニングセンターとして復活することはもうないと考える人も多くいました。


本来の役割を取り戻したJヴィレッジ

それでも日本サッカー協会(JFA)を始めとしたスポーツ関係者はJヴィレッジの復活を諦めることはありませんでした。JFAにとってJヴィレッジは日本がサッカー強豪国となるために重要で、しかも思い入れのある場所だったためです。JFAは震災直後からJヴィレッジの復旧を日本政府等に要望し続けています。Jヴィレッジ復活の追い風となったのは2020年東京オリンピックの開催決定です。全国的にトレーニング施設の不足が見込まれるなか、Jヴィレッジを元通りに復帰させ、サッカーを含むスポーツのトレーニング・合宿施設として利用しようという方針になりました。もちろん復活まで掛かる労力は並大抵のことではありません。それでもピッチは1面1面アスファルトがはがされ、丁寧に天然芝が貼りなおされました。よりアクセスが良い施設となるために最寄り駅が新設されました。【震災前よりもさらに魅力的なトレーニングセンター】を掲げて、総工費22億をかけた人工芝1面サイズ全天候型練習場も新たに設置されました。この規模の練習場は国内では初の設置です。

そして2018年の一部営業再開を経て、いよいよ2019年春に全面営業再開を果たしました。施設利用者数の平均は震災前並みとなっています。福島県内はもちろん全国でJヴィレッジの再開を待ち望むサッカーファンが多く居たことの表れでしょう。


JFAアカデミー福島の活動再開も間もなく

JFAアカデミー福島とは、JFAが日本のサッカー界をけん引する選手の育成を目的として2006年に設置した教育機関です。よくある放課後や土日だけ通うサッカースクールと違い、連携型中高一貫教育を含めた完全寄宿舎制のサッカーアカデミーです。全国から集められた将来有望な子どもたちが6年間寄宿舎生活を送りながらサッカー界だけでなく社会全体を高めることができる人材となるべく切磋琢磨することを狙いにしています。

JFAアカデミーに通うアカデミー生たちはJヴィレッジを練習拠点としていました。そのため、Jヴィレッジにほど近い寮で寝起きし、地元福島の中学校・高校に通っていました。しかし東日本大震災後は当然ながらJヴィレッジの活動も寮での生活もできなくなってしまいました。現在は静岡県に一時拠点を移しています。Jヴィレッジの営業再開を受けて、JFAアカデミー福島も福島での活動再開が発表されました。男子チームは2021年から新規入校者が1学年ずつ入校、女子チームは2024年から一斉に福島県に戻ることになります。多くの優秀な人材を世に送り出してきたJFAアカデミー福島。また福島で人材育成が始まると思うとワクワクしてきますね。


JFAアカデミー福島の活動再開も間もなく

社会人チームは福島県内に数多く存在します。多くのチームが自分たちのプレイで福島を元気づけたいと意気込んで活動しているようです。そんななかで特に注目したいのがいわきFCです。震災後に立ちあがった、新興チームであるいわきFC。チーム設立当初は人数も少なく、社会人チームならではの悩みと言える練習時間の確保に頭を悩ませるところが大きかったそう。転換点となったのが2015年の運営権移管です。これまでの経営者であった一般社団法人いわきスポーツクラブから株式会社いわきスポーツクラブに経営権が移りました。この株式会社いわきスポーツクラブはスポーツ用品アンダーアーマー日本総代理店社長と、現状のサッカー界に疑問を抱いた湘南ベルマーレ代表が設立した企業です。これは単なる買収ではなく、二人の理念を体現するための初めの一歩でした。その理念とは【スポーツを通じて社会を豊かにする】。

いわきFC、そして株式会社いわきスポーツクラブは以下のようなクラブヴィジョンを掲げています。

・いわき市を(経済的に)東北一の都市にする

・日本のフィジカルスタンダードを変える

・人材育成と教育を中心に据える

なんだか、サッカーチームとしては大きな目標に思えますよね。ですがそれを実現するためにいわきFCではクラブハウスに商業施設を併設したり、サッカーだけでなく勉学や英会話、サッカー以外のスポーツも取り入れた5歳からのキッズアカデミーを運営したりしています。もともと福島にサッカーチームを設立したいと考えたきっかけが地域活性化。震災直後に福島を訪れた際、町に人があまりにいないことに愕然とし、なんとかしなければいけないと危機感を抱いたためだといいます。地域活性化のためには単にサッカーチームを設立するだけでなく、サッカーを通して地域の経済活動が活発になったり、地域を元気にする人材が育成されなくてはならないという考え方が根底にあるチームです。

現状のサッカー、特に勝利が重視されるトップチームはとにかく勝利が第一、リーグが降格しないことが最重要視されていてダイナミックなプレイをしない傾向にあると元湘南ベルマーレ社長、現いわきFC総監督である大倉智さんは嘆きます。そんな現状を打破するボールがいわきFCから発せられるのか、今後が楽しみなチームです。


今年もプロ選手輩出 尚志高校から目が離せない

福島県高校サッカーの雄といえば尚志高校です。2019年正月の高校サッカー選手権ではベスト4進出という成果を残しました。準決勝で残念ながら敗れましたが、それもPKまで持ち込むという大接戦。県内、全国のサッカーファンが注目する高校サッカーチームのひとつです。

その尚志高校ではこれまでもプロサッカー選手を輩出してきましたが、今年も見事プロサッカーチームへの所属が決まった選手が出ました。高校3年生になったFW染野唯月(いつき)選手です。所属チームはなんとJ1有数の常勝軍団鹿島アントラーズ。入団内定を受けて、染野選手はA代表入りを目標にしたいと抱負を語りつつも「今の自分を育ててくれたのは福島であり尚志。まずはチームのためにやるべきことをするだけ」(2019年7月3日スポニチ福島版)と足元を大切にするコメントを答えています。


危機を乗り越え、プロチームとして邁進する福島ユナイテッドFC

福島ユナイテッドFCは現在J3に所属し活躍する福島県唯一のプロチームです。ホームタウンを福島県全域とする、地域密着型のサッカーチームとして知られています。現在は20人程度の選手が所属しています。しかし東日本大震災直後、福島ユナイテッドFCは危機的状況にありました。大震災前年である2010年に経営危機が発表されたものの、新運営会社設立及び移管によって体制を立て直したところでした。新体制となった直後、東日本大震災が発生します。幸いにも当時の所属選手で死傷した人はいませんでしたが、原発事故の影響などを恐れて選手の多くが退団してしまったのです。サッカーチームとして成り立たなくなるほどに人数が減り、一時は引退していたコーチ2名が現役復帰をしなければならないほどでした。しかもホーム福島県での試合が2011年は禁止されてしまうという状況です。それでも他県でのホームゲーム開催を条件にどうにか東北リーグへの参加が認められました。なんとこの東北リーグ1部で福島ユナイテッドFCは初優勝を飾ります。この活躍を機に福島ユナイテッドFCは勢いを取り戻し、2014年に開始したJ3リーグには開始直後から所属。現在でも多くのファンが福島ユナイテッドFCのプレーに励まされています。


福島サッカーは今までも、これからもずっと熱い!

多くの人がサッカーを通じて復興を願う活動に取り組んでいる福島。熱意あるプレーだけでも励まされますが、復興の後押しが加わるとなおさら元気づけられますよね。そんな熱意ある選手や運営への応援が、今度は彼らの力になります。お互いに励ましあい、サッカー大国福島を築きながら復興を進められたら素敵ですよね。

よかっぺボタンを押して
このチャレンジを応援!

0よかっぺ
SHARE
top